点譜連とは

ホームページ開設に当たって

点字楽譜利用連絡会代表
和波たかよし

視覚障害者が専門的に、あるいは趣味として音楽を勉強しようとする時は、点字楽譜を利用しなければなりません。
しかし、活字の楽譜に比べて、出版されている点字楽譜は非常に少なく、個々のユーザーが有料、あるいは無料の点訳サービスに依頼して点字楽譜の提供を受けなければならないのが実情です。
欧米では、点字図書館などがそうしたサービスの窓口となっているケースもありますが、日本では専ら楽譜点訳のボランティア団体を頼っているのが現状です。

こうした事情をお知りになった皇后陛下から、2005年に「点字楽譜のために役立てて欲しい」とのお言葉と共にご下賜金を賜り、そのお気持ちを具現化する形として「点字楽譜利用連絡会」が発足しました。
点字楽譜のユーザーと楽譜点訳のボランティア(個人および団体)、さらに施設会員や賛助会員を募り、視覚障害者福祉に携わる法人の理事長や視覚障害を持つ音楽家、点字楽譜のエキスパート、盲学校で点字楽譜の指導に携わる教官などが運営委員となって、事業計画と実施に当たっています。
事務局は、東京の日本点字図書館内に置かれています。

私たちの事業の第一は、国内に数多く存在する楽譜点訳のボランティア団体が作成している点訳楽譜の目録を作ること、そして、個人向けのサービスとして点訳された楽譜の中で、可能な物は他のユーザーとも共有できるシステムを作ることです。

また、普段はそれぞれに活動しているボランティア団体の交流や、ユーザーとの相互交流の機会を提供し、点訳者の養成や点訳技術の向上にも寄与したいと考えています。

財源は、会費と理解者からのご寄付のみに頼っているため、あまり大々的な事業に手を付けることはできませんが、2011年に解散した視覚障害者外出介助の民間ボランティア組織「アカンパニー・グループ」様からのご寄付により、このホームページを開設する運びとなりました。

ホームページによって、会員相互の情報交換を促進すると共に、会員以外の方にも点譜連の事業をより深く知っていただく情報を随時掲載し、点譜連の心臓部とも言える楽譜目録の閲覧もできるようにして参ります。点字楽譜へのご理解と、お力添えを、どうぞよろしくお願いいたします。

点譜連について

点字楽譜利用連絡会(点譜連)は、全国で作られている貴重な点字楽譜データをみんなで活用するとともに、点字楽譜の普及を目指しています。

会員の施設や団体としては、点字楽譜を製作して提供を行ったり点字楽譜を打ち出して提供サービスを行っている点字図書館などの施設やボランティア団体があります。
そして、点字楽譜を利用したい視覚障害者、点訳ボランティア、点字楽譜に関心のあるみなさまが個人会員となっています。
また、私たちの趣旨にご賛同くださる方々には、賛助会員としてご支援をいただいています。

視覚障害者にとっては、音楽の世界は目の見える方々(晴眼者)以上に重要であり、多くの音楽家が活躍し、趣味として楽しんでいます。
そのようなときに欠かせないのが点字楽譜です。
現在世界中で使われている点字を考案したフランス人ルイ・ブライユはオルガニストで、まずは楽譜の点字を念頭に置いていたと言われています。

個々の視覚障害者のニーズに応えて、高度な点訳技術の必要な点字楽譜を手間ひまかけて製作しているのは、各地の多数の点訳ボランティアです。
しかし、せっかく製作された貴重な点字楽譜ですが、他の方が利用したいと思ってもどこにあるか分からず、そのまま埋もれてしまっていることが多かったのです。

既に製作された貴重な点字楽譜をリストアップするとともに、世界共通で大切な点字楽譜の普及を目指して、「集い」や講習会、セミナーを開催するなど、様々な取り組みも行っています。
会費は、施設等が年1万円、個人会員は年2千円で、ボランティア団体は個人扱いとしています。
賛助会員については年5千円以上としています。事務局までご連絡ください。
多くの関係団体及び関心あるみなさまのご入会をお待ちしています。

点譜連の定款はこちらをごらんください。

2019年2020年度役員

代表 和波たかよし(バイオリニスト)
副代表 加藤 俊和(元京都ライトハウス情報ステーション所長)
事務局長 田中徹二(日本点字図書館理事長)
監事 高橋秀治(元 日本盲人社会福祉施設協議会 理事長)
運営委員 荒川 明宏(株式会社ラビット代表取締役社長)
岩城美智子(筑波大学附属視覚特別支援学校音楽科教官)
今石幸男((株)ミュージックエイト)
上田喬子(日本点字図書館、声楽家)
河相富陽(箏曲家)
富田清邦(地歌筝曲家)

沿革

2005年3月16日 点字楽譜連絡会発起人会「点字楽譜譜連連絡会立趣意書」発表

2005年4月22日 点字楽譜利用連絡会(点譜連)発会(66名)

2005年6月17日 皇后陛下よりご下賜金を賜る

2005年8月20日 点譜連ニュース1号発行

2006年7月1日 点譜連2006年度総会/第1回集い(東京):お話「点訳グループトニカの歩みと役割」松永 朋子氏(点訳者)/「テノール歌手として、星への思い」天野 亨氏(テノール)/「箏曲演奏家としての楽譜の利用」河相 富陽氏(箏曲家)

2006年12月16日 第2回集い(東京):お話「楽譜の自動点訳システムについて」安部亮介氏(横浜国大大学院)/「点字楽譜の利用者として」澤田 理絵氏(ソプラノ)

2007年3月31日「点字楽譜リスト一覧2006年度版」発行・配布

2007年7月7日 点譜連2007年度総会/第3回集い(東京):お話「データベースについて」筑波技術大・飯塚 潤一氏・宮城 愛美氏/「点字楽譜の利用者として」田中 禎一氏(ピアノ・元教諭)

2007年8月23日「点字楽譜検討準備委員会」開催(音楽科設置3校参加)

2007年12月16日 第4回集い(京都):お話「点字楽譜とともに歩む-優秀なボランティアあってこそ」黒葛原 富士子氏(箏曲演奏家)/「ドイツとウィーンの点字楽譜及び実用化される点字楽譜ソフト」綱川 泰典氏(フルート)

2008年7月5日 点譜連2008年度総会/第5回集い(東京):お話「附属盲での点字楽譜の指導の実際」岩城 美智子氏(筑波大学附属視覚特別支援学校音楽科教諭)/「点字の音楽教科書のレイアウトの変遷」 加藤 俊和氏(京都ライトハウス情報ステーション所長)

2008年12月14日 第6回集い(神戸): お話と演奏・北村 多恵氏(ソプラノ)山本 博昭氏(ピアノ)

2009年6月10日 点譜連ニュース10号発行

2009年7月4日 点譜連2009年度総会/第7回集い(東京):お話と箏演奏・松田 育子氏(箏曲家)

2009年12月13日 第8回集い(大阪):お話と演奏・竹内 一氏(箏曲家)/豪 佑樹氏(トランペット)

2010年7月10日 点譜連2010年度総会/第9回集い(東京):お話とヴァイオリン演奏「点字楽譜で広がる世界」和波 たかよし氏(ヴァイオリン)

2010年12月12日 第10回集い(名古屋):お話と三絃演奏「地唄(三絃)の世界を語る」富田 清邦氏(地唄箏曲家)

2011年1月20日「点字楽譜リスト2009年度版 <曲目・作曲者別>リスト」発行・配布

2011年7月23日 点譜連2011年度総会/第11回集い(東京):お話「ともに生きる-音楽教師としての10年」南澤 創氏(筑瀬小学校教諭)

2012年12月11日 第12回集い(京都):お話「盲学校での点字楽譜の指導と活用」大谷 智子氏(京都府立盲学校教諭)/お話と演奏「点字楽譜の利用者と点訳者」岡田 多栄子氏(箏曲演奏家)

2012年7月7日 点譜連2012年度総会/第13回集い(東京):お話と演奏「音楽人としての歩み」橋本 夏季氏(ソプラノ)

2012年12月9日 第14回集い(大阪):お話と演奏「シンガソングライターとして点字楽譜を使ってきて思うこと」福本 淳氏(シンガソングライター)/お話「点字楽譜と向き合って」菅田 利佳氏(和歌山県立和歌山盲学校6年生)/「点字楽譜を使う子供の親として」菅田 みゆき氏

2013年5月10日 点譜連ニュース20号発行

2013年6月 点譜連ホームページ開設、点字楽譜リストデータベース化運用開始

2013年6月 ミュージックエイト社の楽譜を横浜国立大学の後藤 敏行氏、大山口 博子氏他多数の点訳者様のご協力を得て、弊社楽譜データから自動点訳実証実験を開始

2013年6月29日 点譜連2013年度総会/第15回集い(東京):お話「我が国での点字楽譜の始まりと普及そして活用」熊沢 彩子氏(筑波大学附属視覚特別支援学校音楽科教諭)

2013年8月「ブレイルミューズ」自動点訳データ作成開始

2013年8月3日 第1回点字楽譜指導者等研究会(東京):「歌曲を中心に」加藤俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2013年11月2日 第2回点字楽譜指導者等研究会(東京):「ピアノ曲を中心に」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2013年11月24日 第16回集い(福岡):お話「点字楽譜と私、そして点譜連の8年間」和波たかよし氏(ヴァイオリン)/お話「世界の点字はオルガンから生まれた!」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)/〈ふれあいトーク〉和波 たかよし氏、富田 清邦氏、加藤 俊和氏

2014年2月1日 第3回点字楽譜指導者等研究会(東京):「弦楽器曲を中心に」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2014年6月21日 点譜連2014年度総会/第17回集い(東京):お話と演奏「音と楽譜と、出会いに触れて」澤村祐司氏(筝曲家)

2014年8月23日 第4回点字楽譜指導者等研究会(東京):「邦楽を中心に」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2014年12月7日 第18回集い(大阪):お話と弾き語り「歌うことは希望を語ること」時田 直也氏(バリトン)/お話「邦楽と洋楽の点訳に取り組んで三十余年」大山口 博子氏(点訳者)

2015年2月7日 第5回点字楽譜指導者等研究会(東京):「三絃や尺八の譜面、洋楽との違いなど」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2015年7月 点譜連ホームページリニューアル

2015年7月11日 点譜連2015度総会/第19回集い(東京):お話と独唱「点字楽譜に出会って60年」塩谷 靖子氏(ソプラノ)

2015年9月5日 第6回点字楽譜指導者等研究会(東京):「洋楽全般について」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2015年12月13日 第20回集い(宮城):お話と演奏「私のピアノと点字楽譜」佐藤 裕子氏(ピアノ)/お話「点字楽譜と私、そして点譜連の10年間」和波 たかよし氏(ヴァイオリン)

2016年2月13日 第7回点字楽譜指導者等研究会(大阪):「点字楽譜のレイアウトについて」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2016年3月3日 点譜連ニュース30号発行

2016年7月16日 点譜連2016年度総会/第21回集い(東京):お話と演奏「音楽とスポーツと私」平井 崇陽氏(ヴァイオリン)

2016年9月3日 第8回点字楽譜指導者等研究会(東京):「歌曲と歌の点字楽譜のいろいろな問題点について」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2016年12月11日 第22回集い(大阪):お話と演奏「夢に向かって歩く」陽 雪元氏(中国笛奏者・テノール)

2017年2月4日 第9回点字楽譜指導者等研究会(大阪):「箏曲の絃譜による書き方の検討」岡田 多栄子氏(筝曲家)

2017年7月1日 点譜連2017年度総会/第23回集い(東京):皇后陛下ご臨席/お話と演奏・綱川 泰典氏(フルート)坂田 優咲氏(ホルン)

2017年9月2日 第10回点字楽譜指導者等研究会(東京):「邦楽の古曲と新曲の点訳-箏曲の調弦と点字楽譜の書き方」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2017年12月10日 第24回集い(大阪):演奏とお話「点字楽譜に支えられて-音楽活動のエピソードから」和波 たかよし氏(ヴァイオリン)

2018年2月10日 第11回点字楽譜指導者等研究会(東京):「和音などの書き方を考える-手引の改訂は?」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2018年7月7日 点譜連2018年度総会/第25回集い(東京):お話と演奏「人類の生み出した奇跡、音楽とテクノロジーに支えられ」上田 喬子氏(ソプラノ)

2018年8月4日 第12回点字楽譜指導者等研究会(東京):「歌曲の書き方のまとめについて-手引の改訂を考える」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2018年9月18日 特別講演会(東京:日本点字図書館):お話「イタリアにおける点字楽譜や視覚障害音楽家の現状について」パオロ・ラッツォーリ氏(イタリアの音楽家)

2018年12月9日 第26回集い(広島):お話と演奏「私のピアノと点字楽譜」三浦 裕美氏(ピアノ弾き語り)

2019年2月2日 第13回点字楽譜指導者等研究会(東京):「ピアノ譜の書き方について-手引の内容を考える」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2019年7月6日 点譜連2019年度総会/第27回集い(東京):お話「点字楽譜に夢を運んで25年(五線譜と点字楽譜を繋ぐソフト「ビースコア」を開発して)」村上恭子氏(ビー・ミュージック代表)

2019年9月14日 第14回点字楽譜指導者等研究会(東京):「管弦楽曲の書き方について」加藤 俊和氏(元京都ライトハウス情報ステーション所長)

2020年5月10日 点譜連ニュース40号発行

2020年7月4日 点譜連2020年度総会/第28回集い(東京):お話と演奏「附属盲音楽科の宝ものたち」小野山幸夏氏(筑波大学附属視覚特別支援学校音楽科教諭、メゾソプラノ)、山内さおり様(ソプラノ)

2020年8月24日 公益財団法人社会貢献支援事業団から「第54回社会貢献者表彰」を受賞

2020年12月12日 第29回集い(東京):お話と演奏「熱い心で一歩ずつ」片岡亮太氏(和太鼓)

2021年4月18日 点字楽譜利用連絡会 設立15周年記念コンサート「ルイ・ブライユと点字楽譜に感謝して」開催

2021年7月17日 点譜連2021年度総会/第30回集い(東京):お話と演奏「私の経験を未来の音楽教育に繋げるために」藤吉音羽(東京藝術大学大学院生、ピアノ)

点譜連報告