点字楽譜の基本記号
点字で楽譜が書ければ、視覚障害者の音楽の世界は大きく拡がる! と考えたのはルイ・ブライユでした。
そして、指先にすっぽりと収まる6点を、触って読みやすい4行に並べるという画期的な方法で楽譜を作り出したのでした。
点字楽譜は世界共通で、邦楽の絃譜(いとふ)も同じ記号で表されます。
●「音符」は、絶対音で次のように構成されています。
ハ長調 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
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全音符 | ![]() |
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2分音符 | ![]() |
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4分音符 | ![]() |
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8分音符 | ![]() |
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付点 | ![]() |
●「休符」
全休符 | ![]() |
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2分音符 | ![]() |
4分音符 | ![]() |
8分音符 | ![]() |
●オクターブの高さ(音符の直前に書きます)
全音符の、下の 「ド~シ」 | ![]() ![]() |
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全音符の、中央 「ド~シ」 | ![]() ![]() |
全音符の、上の 「ド~シ」 | ![]() ![]() |
音名 | 下1 | ひらがな | カタカナ | 1点音 | 2点音 | 3点音 | 4点音 |
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音列 | 4の点 | 4 5の点 | 4 5 6の点 | 5の点 | 4 6の点 | 5 6の点 | 6の点 |
●「音符法」の和音(主となる音符の後ろに、下4点で和音を順に書きます)
和音のド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
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●「音程法」の和音(主となる音符の後ろに、主となる音符との音程を表します)
和音の 1度 | 2度 | 3度 | 4度 | 5度 | 6度 | 7度 | 8度 |
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●臨時記号(音符の前に書きます)
♯ | ![]() |
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♭ | ![]() |
♮ | ![]() |
*そのほか、いろいろな楽譜記号が6点の点字で作られています。
点字楽譜の動向
点字楽譜の基本は世界共通です。
例えば、邦楽で用いられる、一、二、三、・・・と漢数字で書かれた「絃譜(いとふ)」も、五線譜と同様に絶対音で書きます。
ただし、和音については、世界的には音程法で、音符法は初等教育の一部で使用されているにすぎませんが、日本においては「音符法」が広範囲に用いられています。
1954年のパリで開催された世界点字楽譜統一会議に日本は初めて参加しました。
そこで提案されたのが音符法でしたが、残念ながら、この会議については不参加の有力な盲音楽家も多かったので、その後も世界的には音程法が中心です。
なお、現在の日本の和音は、小中高では音符法が中心ですが、音楽コースなど専門的な楽譜では音程法を中心に使用されています。
1954年の後も、欧米を中心とした小会議は何度か開催されていましたが、日本には関係のないまま経過していました。
1992年のスイスで国際点字楽譜会議が開催されることが分かり、日本からは38年ぶりに参加し、「これから製作される点字楽譜について国際的に共通化する規則」が確認されて、1996年に「New International Manual of Braille Music Notation」が発行されました。
このマニュアルは、ドイツやイタリア、スペイン、ロシア、台湾などで翻訳出版されています。
この方式については、世界的に共通して利用する場合にはこの表記が優先されますが、各国ではそれぞれの実状に合わせて従来の点字楽譜表記を用いることができることが前提となっていますので、点字楽譜を外国から取り寄せた場合、この方式ではない楽譜が多く存在していますので注意が必要です。
なお、2004年にもスイスで国際点字楽譜会議が開催されています。
1996年に発行された英語版に基づいて日本においても翻訳作業は進めていましたが発行はしていません。
それは、半世紀以上にわたってそれなりに定着している日本の点字楽譜の方式があり、特に盲教育での扱いについて明確に書き加え、生徒の無用の混乱を防ぐ必要があるからです。
そのため、日本においては、この国際点字楽譜記号解説の方式の使用については、今のところ、この新表記の内容を理解できる専門家への点訳などにとどめられています。
点字楽譜参考資料
「点字楽譜の手引き」 文部科学省編 日本ライトハウス発行
(墨字版送料込み 2625円 点字版全1巻 5150円 日本ライトハウス点字情報技術センター 電話06-6784-4414)
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